販促のヒント

売場づくり虎の巻

お店で使える、いろんな「色」のハナシ!

「目立つ」「読める」は色次第

お店での販促訴求を行う場合、そもそもお客さまに訴求自体を“気づいて”もらわなくては何も始まりません。どんなに優れたコピーであっても 読んでもらえないのではないのと一緒。まずは気づいてもらう、すなわち「目立つ」訴求であることが、まず第一歩になります。 「目立つ」ために重要な要素、その一つに『色』があります。同じ内容の文字やイラストを書いても、使う色によって認識してもらう度合いは大きく異なります。

では、「目立つ色」とは何なのか? もちろん環境や状況によって異なりますが、お店で目立つ色としては ピンク・黄色・水色、が挙げられます。パステル調で軽めなので悪目立ちせず、それでいて周囲に埋没しない3色です。

じゃあ、この3色で訴求を書けば万事OK!…かというと、事はそう単純ではありません。 白地に黄色で文字を書いても、背景と文字の境が曖昧になり、非常に読みにくいものとなってしまいます。これでは「目立つ」どころではありません。 こうならないために気を付けるべきは、色の“明度”です。 明度とは、色の明るさを表す尺度のこと。 下図は、明度の低い背景(黒)と明度の高い背景(白)に各色を同じように配置したものですが、黒背景に青や紫だったり、白背景に黄色や薄緑だったりすると 背景色に溶け込んでしまって視認性が低いことがよくわかると思います。

一般的に「赤色は目立つ」「黄色は誘目性が高い」など よく言われますが、それは周囲の色との組み合わせ次第。これを意識せずに明度の近い色を隣り合わせに配置してしまうと、色と色との境目をはっきりと認識できず“読みにくい/見えにくい”訴求となってしまい、結果として内容が伝わりません。

パソコンを使ってPOPを作る場合には、明度や彩度も数値で表してくれるので確認もしやすいのですが、手作業でツールを作る場合はそうもいきません。そこで便利なテクニックが『白黒コピー』です。 以下の図は、実際に作ってみた訴求です。

黄色地に緑で「色」という字が2つ書かれていますが、ぱっと見は どちらが見やすいか、さほど大きな違いに感じないのではないでしょうか。 しかし、ここで図を白黒コピーしたのがこちら。

カラーの時には認識しにくかった“明度の差”がハッキリし、左右どちらが見やすい色だったかが一目瞭然ですよね。文字を書いた本人には大きな差に見えなかったものでも、視力の落ちたシニアの方だったり、遠距離からの視認性という点では、実は見過ごせない差が出てくるものです。

色自体が持つ意味を意識する

  • 人間は、文字や形だけでなく色自体の意味(連想)も無意識に認識している
  • 「危険」「安心」、「あたたか~い」「つめたーい」 混乱/違和感を与えないように

また、色には“見やすさ”だけでなく“その色の持つ特有の意味”もあります。 たとえば、水色であれば「雨・空・涼しさ・爽やかさ」、灰色であれば「雲、煙、無機質、陰気」など。その色によって連想する物事、と言っても良いかもしれませんね。

これを気にせず、色の持つ本来のイメージと真逆なテーマを盛り込んでしまうと、それを見た人に混乱や違和感を与えることになり、むしろマイナスな印象となってしまう事も。

更に例を挙げると、たとえば下記の図を見て しっくりこないものを感じませんか?

特に「赤」や「青」などの原色は、物事から連想される印象以外に、さらに強い固有の意味を持つものもあります。信号の「赤は止まれ」「緑は進め」のイメージは 色の固有の意味として私たちに染みついていますから

のような表現は、頭で理解する前に まず体が違和感を感じてしまうものです。 他にも、青字で“危険!”、赤字で“つめたーい” なども同様。いったん意識できてしまえば「そんな色は選ばないよ!」と思うかもしれませんが、意外と実際にお店で見かけることも多いもの。 “夏は暖色系が多いから” “医薬品売場は青や緑が多いから”などと、「目立たせる」ことを狙って逆系統の色を配置しようとすると、起こりやすいパターンでもあります。目立たせたい気持ちはわかるのですが、その際にも“差し色としてポイントで使う”に留め、あまり色だけで強い主張とならないよう気を付けましょう。

まとめ

今回は、訴求における「色」の大切さについて解説させていただきました。 実際に売場を作る際に、マーカーであったり画用紙であったりと、使える色というのはある程度 限られていることと思います。 それだけに、「色」に対して少しの意識・テクニックをもって売場作りを行っていただき、お客様へ情報を“正しく・ストレートに”伝えることで、みなさまの効果的な売場作成に繋がれば幸いです。

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文=松江謙公 てんとうむしweb 編集部