顧客の中心であるシニア層の目線を意識した売場づくりを実施
自宅で飲む楽しさを訴求
今年の春に実施されたUCC「第30回ディスプレイコンテスト」の家淹れアイスコーヒーコースにおいて、全国グランプリを受賞したのは、㈱ホクノー(北海道札幌市、野地秀一代表取締役社長)のホクノースーパー中央店である。同店食品バイヤーの中川卓哉氏は「入社6年目になりますが、今年はじめて本格的に大陳に取り組みました。全国グランプリを受賞できて光栄です」と語った。
売場のテーマについて中川バイヤーは「コロナ禍にあって、いつもと違う暮らし方が求められるなか、少しでも明るく楽しい日々を送ってもらいたいという考えから、UCCさんの“Good CoffeeSmile”というメッセージを反映させた売場をつくりました」と話す。
トップボードには、「UCC Smileコーヒーフェア開催!」とともに、「家淹れコーヒーでおうち時間をおいしく楽しく」と訴求。そこには、イラストよりも、コーヒーのある暮らしをイメージしやすいさまざまな写真が採用された。
商品は、アイテム別に縦割り陳列することで、パッケージのカラーリングが効果を発揮し、来店客の目に止まりやすい売場となるように設計されている。
カフェなど外でコーヒーを楽しむことができなくても、家で飲んでもらいたいという思いが伝わる売場となった。
さらに、「紅茶の時間」も陳列し、“おうち時間”の提案を拡大したことで、売上も大きく伸ばす結果となった。
行動が制約されるなかで楽しさを感じられる演出をめざす
札幌市内の大型団地「もみじ台団地」の地域密着型スーパーマーケットとして1976年にオープンした同店。顧客とともに成長してきたことから、購入商品の嗜好や購買行動なども十分に把握している店舗となっている。
今回の大陳売場づくりにも、シニア層の特性を生かしている。まず、商品の陳列位置やPOPの設置位置。一般的なゴールデンゾーンといわれている位置よりは低い位置がメーンゾーンとなる。中川バイヤーは「目に入りやすく、手に取りやすい位置にもなります」と話す。
トップボードなど、視認率を高めるPOP類は、高い位置に設置することで、目立たせる役割とし、売場に立ち寄った際に見せる商品特徴の訴求などのPOPは、低めの位置に設置するという。
POPの制作や陳列の構成など、絵コンテを描くことから始めるという中川バイヤー。「今年から本格的に大陳に取り組むようになって、いろいろ勉強しました」とのこと。
家に帰ってからメーカーのホームページを閲覧し、商品特徴やコンセプトを調べ、それらをどのように反映するかを考えるという。その結果を自分なりに消化し、アイデアや演出を含めて、絵コンテにするのが、中川バイヤー流だ。そして重要なのが、在庫過多にならないように、適性数量で大陳を実施するというバイヤーならではのこだわりである。
コンテストに参加するごとに、「もっとできたはず」と思う中川バイヤー。その思いとともに成長を続けることで、次回も全国グランプリをねらえるように努力し続けると語ってくれた。