手間をかけた売場をつくることで競合店とは異なる来店動機につなげる
「わくわくする売場」という今年の企業テーマを意識
ウジエスーパー利府店は、同社店舗の中でも最大の売上規模を誇る旗艦店のひとつ。メーカー主催のディスプレイコンテストにも積極的に参加し、受賞実績を重ねている。
今回の三幸製菓のコンテストでは、新しい試みとして、これまでは使用してこなかった店舗奥のエンドで売場を展開した。
同店店長の佐々木純一氏は、「大陳を行うことで、ボリューム感や目立つ演出でお客さまが足を止め、商品を手にとっていただける機会が増えます。今回は店頭ではなく、違った場所で展開することで、どんな効果が生まれるのか、見てみたいと考えました」という。
会社全体では、今期のテーマに「わくわくする売場」を掲げているという。このテーマを前提に、日頃から佐々木店長は、楽しさを演出するオリジナル性の高い売場づくりをめざしている。「周辺は大手チェーンも含めて多くのスーパーが立地する激戦地区です。価格設定も重要ですが、大手にはない手間をかけた売場を作ることで、少しでもお客さまに来店したいと思っていただきたい。コンテストなどの企画も、そうした機会のひとつとして重視しています」(佐々木店長)
こうした考えから、コンテストに参加する場合も、メーカーから支給される販促物だけに頼らず、できる限り自店で制作したボードなどを使って独自性を出す。「手作りの販促物を作るのが得意な菓子部門の担当者がいるので、ほかの部門のPOPなども普段から制作してもらっています」(佐々木店長)
こうした努力の結果が、これまでの受賞実績に結びついている。
コロナ禍で制約がある中でや行楽の雰囲気を演出評
今回の演出は春の季節性を踏まえた「花見」をテーマに設定。コロナの影響で実際に花見をすることは難しいが、売場で雰囲気を演出することで、少しでも来店客に喜んでもらおうという狙いだ。
「春のおつまみフェア」というメインテーマに加えて、サブテーマとして「おやつにもどうぞ」というキーワードを設定。楽しい行楽気分を演出する陳列を目指した。
佐々木店長は、「毎回、コンテストでは、このサブテーマの決定に時間をかけています。メーカーの担当者さんや部門の担当者と相談しますが、実際に決めるまでの企画段階が大変ですね」という。
サブテーマが決まり、後は商品やテーマに沿ったオリジナルの販促物を担当者が制作する。今回は、手書きしたテーマを訴求するボードやキャラクターイラスト入りのボードをセンターに配置した。
商品は、ふだんからよく売れている三幸製菓の定番商品を中心にひな壇状に配置。桜の飾り付けや、春らしいカラーリングののぼりなどをあしらい、春らしい季節感を演出している。「陳列作業中にもお客さまが立ち止まってみてくれたり、キャラクターを“かわいい”というお子さまがいたり、注目を集めました。こうした過程も含め、お客さまに楽しんでいただけたと思います。もちろん、店のスタッフも楽しんで取り組んでいます。その活気がお客さまにも伝わるのではないでしょうか」(佐々木店長)
今回のグランプリについて佐々木店長は「初めて展開した場所での受賞は、ひときわうれしいです」と語る。今後も提案に応じて積極的に参加していく考えだが、「最近のコンテストはレベルが高くなっており、なかなか大変だと感じています。他店の受賞陳列はいつも参考にしています。われわれもさらにレベルアップして、新しいアイデアを考えながら今後も取り組んでいきたいと思います」という。