青果と日配の間に売場を配置し同時購買を促す情報訴求を展開
参加各店の責任者が自主的に判断して取り組む
昨年から日清オイリオのディスプレイコンテストに参加し、オリーブオイルコースで初のグランプリを獲得したのが三德新宿本店。株式会社三德で大陳企画などを統括している同社執行役員 商品販売本部グロッサリー・日配統括部長の杉浦正道氏は、「陳列を行った新宿本店の担当者は優秀で意欲のある社員ですが、日頃からの努力がこうした結果にむすびついたことは、私としても大変うれしいです」と語る。
同社の場合、コンテストについては基本的に本部に情報が集まり、それを各店につなぐ形をとる。メーカー担当はその後各店に具体的な企画提案を行い、参加するかどうかは各店の責任者が自主的に判断している。
「当社店舗は都心部を中心に多様なエリアに立地しており、日頃からMD全般について各店の自主判断を尊重しています。本部が指示する一律の売場づくりでは、なかなか効果が得られないからです」(杉浦氏)という。
今回のコンテストで新宿本店では、オリーブオイルとアマニ油を組み合わせて陳列を実施。加工食品売場ではなく、あえて日配と青果売場の間でアイランドを展開した。リーフレットやトップボードでメニュー提案を行い、生鮮品や日配品との同時購買を促す狙いだったという。結果として陳列期間中の反応はよく、販売実績も好調だったという。
健康や安全は同社が日頃から重視しているテーマであり、ヘルシーさを訴求する商品を集約することで、そうしたテーマ性も明確に打ち出すことに成功している。
売場演出の工夫や売り切るための取組みがよい経験につながる
杉浦氏は「ふだんからあまり販促色の強い売場づくりは行っていませんが、店のコンセプトや時期にマッチした企画については積極的に参加を促しています。店舗規模などの制約はありますが、今回も数店舗参加しました。コンテストへの参加は店舗で中心を担う人材育成の一環として意義があると思います。今回新宿本店がグランプリをいただいたので、参加したほかの店の担当者は悔しい気持ちもあるでしょうし、次の機会にはもっとがんばろうというモチベーションにつながると思います。また仮に結果が出なくても、次のチャレンジにつなげる経験にすることができればいいと考えています」
もちろん、参加するからには発注した商品を売り切るための取組みや戦略も必要になってくる。加工食品の場合は価格以外の価値をいかに訴求していくかについても工夫が必要だ。そうした経験が結果として人材育成につながると考えている。 今年はコロナ禍の中で、家庭で食を楽しむ機会が増えた。新宿本店をはじめ、都市立地の店舗が多い同社では、通勤客や外国人客が減って苦慮した側面もあったが、生鮮素材などは売れ行きを伸ばしている。
「試食販売ができなくなるなど、予測しない事態でしたが、この経験をきっかけに、今後食の楽しさをどのように提案していくかが重要になります。そのためにもこうしたコンテストなどを通じて、関係者みんなで手をつなぐような気持ちで支えあっていければ、と思っています」(杉浦氏)