先代からつないだバトンで見事グランプリを獲得!
常設で展開される圧倒的なのディスプレイは商品力を試すための「実験室」
昨年開催された「明星食品2024年秋ディスプレイコンテスト」のディスプレイコースグランプリに、京都府京都市のスーパー、キッチンランドSUNSUNが選ばれた。京都市中心部からややはずれた、桂川を渡ったところに位置する西京区・洛西ニュータウン。その中にあるショッピングモール「ラクセーヌ」を構成する店舗の一つだ。実は同店は、さまざまなディスプレイコンテストでグランプリを獲得してきた常連店。店長の村田 尚哉氏は、「自分の代でもこうしてグランプリを獲得でき、ようやく私も先代と同じ土俵に立てたように思います」としみじみと喜びを語った。
売場では、チャルメラや一平ちゃんといった定番商品から新商品である「青春という名のラーメン」まで幅広いラインアップを展開。商品を縦割りで均整に並べ陳列したそのディスプレイは見た目も美しく、明星食品に対する同店の理解と想いが伝わるものになっている。
また、袋麺に関しては5食パック売りだけではなく、ディスプレイ下段のほうに1袋の個食のかたちでも展開していることにも注目。さまざまな味を試してみたい購買者の心をつかみ、売れ行きも好調だったという。
このディスプレイを展開している催事コーナーでは、このようなメーカータイアップの企画陳列を随時行っている。発注段階でディスプレイのレイアウトを決め、新商品を含めてスムーズに陳列を行うというそのあり方に、実力店としてのすごみを感じる。
常にディスプレイの空間を設けるこの取り組みは、来店客には目新しさを感じてもらい、メーカー側にも新商品の反応を試す機会を提供するという、2つのねらいがあるという。「これぐらいの売場をつくると、メーカーさんも本気でいろいろと関わっていただける。そのことが店舗全体の雰囲気にとっても、いい循環を生んでいると思います」と村田氏は語る。
市民に愛される老舗スーパーは時代とともにさらなる挑戦を求める
京都中心部だけでなく、大阪方面へのアクセスも良好なベッドタウン・洛西ニュータウンの中心に位置する同店。周りを囲む団地からはそれぞれの方向から歩道橋がつながっているため、団地の住人は散歩の途中で気軽に立ち寄ることができる。日課として毎日来られる高齢者の方も多く、それぞれの団地をつなぐコミュニティースペースとしての役割も大きい。
一方、週末になると子供連れのファミリー層で賑わう。いくつもの専門店を擁するショッピングセンターとして、遠方から来店される方も多いという。周辺にはマルシェ等のイベントが開催される広場や図書館をはじめとした公共施設、さらには温泉施設まであり、日がな一日楽しむことができるエリアになっている。
このように、乳幼児から高齢者までさまざまな層の方々が訪れる当店。そのため、売場をつくるうえではまず、十分な通路幅の確保に気を配ることから始まる。買物カゴでのすれ違いはもちろん、車椅子やベビーカーの往来も多いため、お互いがすれ違うことができるようにすることが何よりも大切だという。「何か目的があるわけでもない人にも、『とりあえず寄ってみようか』と思っていただけるような場所でありたいと思っています」(村田氏)。
「洛西ニュータウンの冷蔵庫」として、すべての人にとって快適に利用することのできる店づくりをめざす。そんな同店のあり方に、これからの共生社会を考えるうえで大切な温かさを感じた。