6割超の店舗で訴求力の高い売場を展開 企業賞グランプリを獲得
前年を大幅に超える販売実績
2022年3月18日から6月26日までを期間として開催された「明星食品2022年 春 ディスプレイコンテスト」で見事、企業賞グランプリを獲得したのは愛媛県の㈱フジ・リテイリング。担当の加工食品事業部第二食品部の藤原寿和バイヤーは「実は内心、皆で目標にしていました。とはいえ狙ってもらえる賞ではないので、大変光栄です」と喜びを表現する。
同社は現在、総合スーパーや食品スーパー(食品取扱い93店舗)を展開する。今回のコンテストには、その6割以上に上る58店舗がエントリー。参加各店は、「チャルメラ」や「一平ちゃん」など明星食品の主力商品各種を来店客に強くアピールした。
どの店の陳列もユニークかつオリジナリティあふれるものだったが、なかでも店舗賞の大陳コースでグランプリに輝いた「フジ松末店(上田将店長)」(愛媛県)では、地元で愛される商品を一緒に陳列し、迫力ある売場を展開。「松山ウインナーと春野菜を入れて松山チャルメラ」という手づくりのPOPを掲げ、注目を集めた。同様に「フジグラン岩国(山内清次店長)」(山口県)でも、多くの人が往来する催事スペースに売場をつくり、商品のおいしさや楽しさを大々的に訴求。多くの来店客が立ち止まるなど、店の賑わい演出にも大きく貢献した。同店は、店舗賞のディスプレイコースにおいて優秀賞に輝いている。
同社では毎年、明星食品のディスプレイコンテストに参加しているが、今年も多くの店で前年を大幅に超える販売実績を残したという。つまり、年を経るごとに販促効果が高まっており、同社では取り組みに手応えを感じている。
商品の価値を伝える売場づくりを
同社は四国四県に加えて広島県、山口県でも事業を展開するリージョナルチェーン企業である。とくに本部を構える愛媛県を中心とする四国では、強い支持を獲得している。
ただ、同社の商勢圏は競争が激化しているのが現状だ。なかでも近年、目立つのは食品の扱いが大きいドラッグストア(DgS)やディスカウントストアなど、価格訴求型業態の台頭である。とりわけDgSは今も店舗数を伸ばしており、脅威となっている。
これに対し、同社では購買頻度の高い商品は値頃感ある価格で販売する一方、健康や美容、また味や品質にこだわった付加価値商品により、集客とともに差別化を図っている。こうしたコンセプトがじわりと浸透し、業績向上に結びついているという。
また、ブレない店づくりを実現する独自の取り組みも成果を生んでいる。同社には、スーパーバイザーが所属する加工食品支援部があり、本部と店舗が連携する重要な要の部署として機能している。
ここ数年は、社内のイントラネットを使った成功事例の共有、本部と店舗とのコミュニケーションにも力を入れている。なかでも「売場投稿システム」は、各店が取り組んだ売場展開を投稿し、全社的に共有できるというもの。この仕組みを通じて、例えば商品部の部長と最前線の店舗に勤めるパートタイマーが意見交換することも可能で、全社的なモチベーションの向上と、訴求力の高い売場をつくるスキルの向上につながっているという。
今回の企業賞グランプリ獲得は、こうした同社のユニークかつ着実な施策が成果となってあらわれた格好だ。
今後も同社では、ディスプレイコンテストに取り組む意向を持っている。来店客の目を惹きつける訴求力の高い売場づくりは、価格訴求型業態との差別化につながると考えているからだ。
「次もコンテストに参加し、上位入賞を狙いたいです」と藤原氏は意気込みを見せた。