“韓国風”を意識したオリジナルPOPでほかにはない独自性を演出
顧客の“来店動機”につながる売場づくりや品揃えをめざす
グランプリを受賞したヨークベニマル小山雨ケ谷店で、陳列を担当したのは同店精肉マスターの阿部友衛氏。今回の受賞について「大変うれしいですし、社内でも共有しました。精肉部門のスタッフも“やったね”と喜んでくれました。本当に参加してよかったと思っています」と言う。韓国料理の調味料やたれについては初めての取り組みだったが、自分の引き出しを増やすことができれば、という思いで参加を決めたという。
阿部氏と協働してPOPづくりを担当したのが同店管理部門の落合亜樹子氏。絵を描くことが好きで、書道経験もあることから、同店のPOPを一手に引き受けている。まず、2人で陳列イメージを話し合い、それに沿ったPOPを制作。今回の陳列をつくり上げた。
「今回は韓国風のイメージを出したいということでしたので、少し崩した感じの文字を手書きしてみました。実際に売場をつくるのは阿部マスターなので、そこにPOPがどうマッチするか、楽しみにしていました」と言う。
陳列場所は精肉売場の並びの、催事スペースを確保。L字型の什器を使って、遠くからでも目に付きやすい、ダイナミックな陳列を展開。スタンドで販促物ののぼりを掲げ、自作POPをあしらうなど、オリジナリティのある演出を行うことで、注目度の高い売場をつくり上げた。
フライパンに文字を貼って商品の簡便性を訴求
今回の陳列のポイントになっているのは、簡便性を訴求するためフライパンを使ってキャッチを掲示するアイデア。フライパンの中にカラフルな文字を貼り込み、「食卓彩る韓国ごはん」と訴求した。
また多くの色紙を使って、メニューごとに肉や野菜などの材料を紹介。さらに実際に調理したサンプルメニューをディスプレイして、仕上がりイメージが伝わりやすいような演出を行った。
阿部氏は「結局、今回の商品は肉や野菜を併せて買っていただくことをねらう商品です。いかに簡単に、おいしいメニューができるかを発信することが重要だと考えました」と言う。
結果として、これまで展開してきたさまざまな催事売場の中でも、来店客の反応が最も手応えがあり、販売実績も上々。生鮮部門との相乗効果も得られたという。「大陳期間中は通常の3倍程度の販売実績があり、大陳終了後もこれまでより1.2倍程度の実績で推移しています。一度食べていただいたことで、リピートにもつながっているケースがあるとみています」(阿部氏)。
また同店店長の笠原裕幸氏は今回の受賞について、「売場にお客さまが足を止めているのを見て、いいところまでいけるのではないかと思っていました。阿部マスターは、現状の売場に満足することなく、もっと何かできないかと、お客さま目線で常に前向きに考えるタイプです。その姿勢と、落合さんのPOPが合体して効果的な演出ができたと考えています。社内でも“コトPOP選手権”を行うなど、進化するPOPの活用を日頃から意識しています。今後も2人にはさまざまな挑戦をしていただきたいと思います」と高く評価している。