試食ができない状況での戦略 それがディスプレイコンテスト
ポイントはアレンジメニュー
今春に実施された雪印メグミルク「雪印コーヒー 発売60年目 ディスプレイコンテスト」において、新商品アイデアコースのグランプリを受賞したのは、北雄ラッキー㈱(北海道札幌市、桐生宇優代表取締役社長)のラッキー長沼店である。積極的にディスプレイコンテストに参加しているという店長の本多剛氏は「上位入賞しか考えていなかったので、最高の結果に『よし、やったぞ!』と喜びました」と語ってくれた。
雪印は、地元・北海道のブランドとして道民に愛されていることから、牛柄の北海道型トップボードをシンボルにした売場を展開。アイキャッチとして効果的なオリジナルPOPになっている。
さらに、新商品である希釈タイプをアピールするために、オリジナルのパンづくりが行われた。ベーカリー部門に協力してもらい「コーヒー食パン」と「コーヒーマリトッツォ」ができ上がった。「時間もなく無理なお願いでしたが、その出来栄えは、本当においしいオリジナルパンに仕上がりました」(本多店長)。
ボリューム感のある多彩な商品陳列に、オリジナルPOP。そこに、オリジナルパン2品の陳列があることから、視認性や興味喚起の効果が大幅にアップした売場になっている。
アイデアのある売場展開は、買物の楽しさと提案力があることから、売上アップにも大いに貢献する結果となった。
鮮度にこだわる地域密着店
北雄ラッキー㈱は、札幌市を中心に、北海道全域に33店舗の地域密着型スーパーマーケットを展開している。今年の企業スローガンは「おいしさと豊かさ」で、「感動・健康・安心」を提案している。
ラッキー長沼店は、農業地域の夕張郡にあることから、「朝採り野菜」を品揃えするなど野菜の鮮度にはとくにこだわっている。さらに、顧客の比率は高齢者が高めだが、ファミリー層など幅広いこともあり、「おいしさと豊かさ」とともに、新商品や話題の商品の提案も積極的に実施している。
コロナ禍の影響があり、新商品などの試食販売ができない状況が続いているなかで、ディスプレイコンテストに参加して、特別な売場を展開することは、効果的な施策になっている。
「定番売場だけではできない商品の訴求はもちろん、買物が楽しくなる演出やワクワク感のある商品との出会いの場の提供など、魅力的な売場をつくることで戦略的な販売につなげることが可能です」と本多店長は話す。
グロサリー売場チーフの笹森愛子氏は「ほとんどのお客さまが子供の頃から愛飲している雪印コーヒーなので、売場の反響も大きく、『もう発売から60年も経つんだ』『みんな飲んでいた』などと話しながら購入いただくケースが多くありました」と語ってくれた。
「次回もグランプリを受賞できるように、オリジナリティーがあり、買物が楽しくできる売場づくりでコンテストに挑戦したいと思います」と本多店長は今後の抱負を力強く語ってくれた。