メニュー提案などの情報発信でおいしくて楽しい暮らしをサポート
テーマは「家族と暮らし」
今年の6月から7月にかけて実施された「東海漬物ディスプレイコンテスト」において、チルド商品コースのグランプリを受賞したのは㈱フジ(愛媛県松山市、山口普代表取締役社長)のフジグラン広島店である。店長の木村正博氏は「毎年レベルが高い東海漬物のディスプレイコンテストで、グランプリを受賞できたことは光栄です。しっかりと商品コンセプトやメニュー提案を伝えられる売場づくりを行ってくれたスタッフの力が大きかったと思います」と語ってくれた。
食品課長の新田孝治氏は「東海漬物の『きゅうりのキューちゃん』は、オンリーワン商品で、顧客が多い人気商品。そのような商品をさらに多くのお客さまに購入していただくためには、どうするかを考えました」と話す。
その答えが、「家族と暮らし」をテーマにした売場づくりであった。メニュー提案をベースにした展開であり、その原動力になったのが、食品担当の矢野早苗氏と荒木里織氏である。イラストともに作成されたレシピボードや実際のメニューサンプルを缶ビールとともにディスプレイするなど、購買意欲を高める提案型の売場となっている。
その結果、売場に立ち止まる来店客が多く、売上にも貢献することができた。
売場からの情報発信を重視
㈱フジは、コミュニティ・ショッピングセンター「フジグラン」とスーパーマーケット「フジ」を中四国エリアにおいて101店舗展開している。いずれも地域に密着した生活提案型の情報発信店舗として、売場をとおして来店客とのコミュニケーションを大切にしている。「もともとレシピや商品のおいしさ、商品開発の背景などを訴求したPOPを作成するなどお客さまに向けた店舗での発信に工夫をしてきました」と木村店長。さらに、商品のよさを伝えるために、クロスMDや生活シーンMDなどで売場をつくってきたという。
同店は広島市の中心部に立地しており、周辺は住宅地とオフィス街、単身世帯マンションなどが混在している。午前中はシニア層、昼はオフィスワーカー、夕方は主婦層、夕方から夜は単身者と、時間帯によって客層が大きく異なる珍しい商圏である。
そのため、売場をとおして多様な来店客とのコミュニケーションをどのようにとるのかが1つの課題である。食品担当の矢野氏と荒木氏は、「コロナ禍で、キッチンスタジオでの試食サポートができない現状で、何ができるかを考えて売場づくりを工夫しています」と話す。
いまこそ、伝わりやすいPOPや手軽でおいしそうなメニュー提案、楽しい暮らしにつながるコトPOPなど、「お客さまの声を大切にしたコミュニケーションができる売場」という原点回帰になる同社の強みを発揮するときと考えている。