コーヒーの需要期に合わせてボリューム感と立体感のある売場を演出
わかりやすく、買いやすい売場展開を意識
左から、(株)フジ フジグラン安芸店長兼食品課長 大下 勝氏、同店食品担当 坊田 英二氏、キーコーヒー(株)流通営業本部西日本支社中四国ユニット主任 禮田鷹志氏
フジグラン安芸は、大型商業施設を含む競争が激化するエリアに立地。多くのテナントが入居し、平日は近隣リピーター層、休日は広域を含む集客を見込む、地域型ショッピングセンターとして運営されている。
同店で今回の受賞陳列を担当したのは食品担当の坊田英二氏。グロサリー全般を担当しており、これまでもさまざまな大陳コンテストに参加している。
「基本的に大陳は、お客さまに買物を楽しんでいただくことが目的と考えています。コンテストも賞をいただけるかどうかというより、店舗としての提案を発信していきたいという思いが強いので、受賞の知らせを聞いた時はびっくりするだけでした」という。
同店店長の大下勝氏も、日頃から陳列や、店頭販促を重視している。「結果として売れる売れない、あるいは今日はお客さまが少ない、などと状況を見ているだけでは、何も始まりません。やはり店としてさまざまな提案を仕掛け、お客さまの反応を見る。それによってまた見せ方を変えていくなど、二重三重に売るための努力を重ねていくことが大切だと思います」と強調する。大陳コンテストへの参加も、そうした戦略の中に位置づけていくという考え方だ。
受賞に満足せずより高いレベルをめざす
フジグラン安芸
今回の陳列は、店舗の中でも目につきやすい催事スペースで展開。ワイドな売場で、ドリップ オンを中心にひな壇状の陳列を行った。ある程度事前に展開イメージを想定し、陳列作業中に微調整を行いながら、 2時間程度で作業を行ったという。
「当店はもともとコーヒーがよく売れる店で、需要期でもありましたので、数量も十分に確保したうえで展開しました。何かおもしろそうなことをやっている、と思っていただき、まずはお客さまの目や足を止めることを第一に考えました。同時にボリューム感と、風船やパネルなどの販促物を使って立体感を出すことを意識しました。またひな壇の商品は種類別に縦に並べ、お客さまが購入する際は手前側から取れるように配慮しています」(坊田氏)
陳列のサイドではイベント什器を使って抽出のイメージを再現。顧客の反応もよく、結果として想定していた以上の売上を記録することができた。
大下店長は「私は直接陳列に携わるわけでもなく、できた後に見るだけですが、今回賞をいただいたとはいっても、これがベストの陳列なのかといえば、まだまだできることはあると考えています。たとえばお客さまの飲用シーンを想定したうえで、朝食の時間とゆっくりくつろぐような時間ではドリップ オンとインスタントを使い分けているのではないか、という仮説に沿った提案を行うとか、あるいはお客さまに好きなコーヒーの種類を投票で選んでいただく参加型のイベントにできないかとか、いろいろ考えられますね」という。さまざまな想定をより深く考えたうえで、常に売場を進化させていきたいという思いが強い。
そのためにはよく商品を知り、何を伝えたいかを明確にすることが重要だという。「コーヒーの味、特徴、飲用シーン、価格など、何を訴えたいのか。それを考える前提として、大陳コンテストは商品をよく知る機会になります」(大下店長)
坊田氏も、「リピートしていただいているお客さまの立場に立って、“来てよかった”“ちょっといいものが見つかった”などと喜んでいただける陳列や提案に力を入れていきたいと思います」という。