テーマを設定したオリジナル性のある売場で来店客の目を引く楽しい売場を実現
パスタと関連商品に力を入れる基本方針にマッチした企画
株式会社ラルズ ビッグハウス岩見沢店 グロサリーチーフ 佐藤健太氏(左)、キユーピー株式会社札幌支店 家庭用営業課 滝本次郎氏(右)
今回のコンテストで金賞を受賞したビッグハウス岩見沢店は、これまでにもメーカー主催のディスプレイコンテストで多くの賞を獲得してきた。今回担当した同店グロサリーチーフの佐藤健太氏は、 1年半ほど前に同店に異動してきた。「正直なところ、これまでの担当者の実績がすごいので、それは意識してしまいます。担当が変わって賞がとれなくなった、といわれるのも悔しいので、参加するコンテストについては、全力で取り組んでいます」という。
同様に社内他店舗でもコンテストに力を入れる担当者が多く、こうした社内のライバルを意識してしまうという。多くの担当者がそれぞれの思いで陳列に取り組むことで、同社の陳列が全般的にレベルアップし、訴求力を向上させる効果につながっているようだ。
佐藤氏は今回のコンテスト参加について、「キユーピーさんのコンテストには初めての参加でしたが、札幌を含む道央エリアは、以前から『あえるパスタソース』がよく売れる地域で、定番でも力を入れています。パスタ麺自体についてもグロサリーの上位品目であり、今期はとくに『今年の一品』と位置づけてオリジナル商品などに力を入れているところです。そうしたタイミングにマッチした企画でもあり、今回は『あえるパスタソース』のシリーズ商品を幅広く展開し、日頃の売れ筋以外の商品にも着目してもらうことをめざしました」という。
空港の搭乗口や待合室などを再現
ビッグハウス岩見沢店
今回佐藤チーフが売場で表現したのは“空港”の雰囲気だ。「『あえるパスタソース』のおいしさは日本だけではもったいない、世界にはばたけ」というテーマを基に、空港のイメージを陳列で表現してみました。これまでも新幹線の駅や道の駅などをイメージさせる売場をつくってきたことがあるので、いわばそのシリーズの一環です」(佐藤氏)
こうしたアイデアはふとした瞬間に思いつくという。車で道を走っているときに見た光景など、アイキャッチ効果が得られると思うものをみつけると、何でも取り入れてみる。
今回のテーマである空港については、空港のどんなディテールを取り入れるかを決めるのが難しかったという。決め手になったのは中央に配置した電光掲示板だ。空港の掲示板風にパスタのゆで上がり時間を表示。搭乗口には“あえる”ソースの簡便性を意識した「スマート“PASS”タ」を設置した。おみやげ屋の窓口にはキユーピー人形が顔をのぞかせる。中央に配置した顔出しパネルも来店客に好評だったという。
これらの素材をすべて手づくりしていることが驚異的だ。「凝り始めるときりがないのですが、掲示板についてはリアルにしないと雰囲気が出ないので、思ったより時間がかかりました。しかし陳列を含むすべての作業を基本的に1日で終えるようにしています」(佐藤氏)
通常佐藤氏は、構想にあたって、実際の売場完成図を立体的なデッサンとして描いてみる。これを基にメーカー担当者と相談し、細部の配置や数量などを決定していくことで、作業の効率化を図っている。
佐藤氏は、「店長もこうした取り組みを後押ししてくれており、今後も全力で取り組んでいきます。テーマを持った陳列はお客さまの目を引きますし、それが活気を感じさせる店舗全体の印象にもつながっていくのではないでしょうか。同時に私自身にとっても楽しみながら自己表現できる場になっていると思います」という。