斬新な演出でグランプリを獲得
リアリティにもこだわる
2021年9月20日から10月24日までを期間として開催された「第6回10月10日は亀田の柿の種の日 大陳コンテスト」で見事、グランプリを獲得したのは、「株式会社とよはた生鮮市場ベリー小俣店」(三重県伊勢市)。売場づくりを担当した菓子担当の橋本里美さんは、「実はグランプリをいただけることをイメージして取り組んだので、とてもうれしい」と素直に喜びを表現する。
ベーカリーや総菜売場に隣接する催事コーナーで、同年10月8日から26日までの19日、大量陳列を行い、多くの来店客に商品を強くアピールした。
「わさび」「梅しそ」「コンソメ味 アーモンド」「ピーナッツなし」など、亀田製菓の主力商品「亀田の柿の種」シリーズの、ほぼフルラインアップを並べた。
売場は斬新な出来映えだった。天井から大きく印刷した「亀田の柿の種」のパッケージを吊り下げ、そこから中身がまるで滝のように流れ落ちてくるような演出を行った。販促物は最小限に抑え、商品そのものをストレートに打ち出す陳列は、圧倒的な迫力があった。遠目からでも目立ち、店内でも異彩を放っていた。
橋本さんは「ボリューム感を表現したかった。とはいえ普通に積み上げるだけでは面白くないと思った。そこで誰も着想しないような陳列とは何かと頭をひねった」と、教えてくれた。
アイデアをまとめるところから、陳列を完成させるまで約10日を費やした。カラーコピーで柿の種を拡大、1個1個、貼り重ねる地道な作業を繰り返した。それらを床にこぼれ出ているように見せるなど、リアリティにもこだわった。
来店客からの注目度は高かった。レジにも近い主通路で展開したこともあり、多くの人が立ち止まり見上げたという。陳列期間中、定番売場に並べている時と比較し、動きのよかった商品は約3倍も売れた。「亀田製菓さんの商品を、多くの方に見てもらうことができた」と橋本さんは、手応えを感じたようだ。
全店が成功例を共有
「生鮮市場ベリー」を運営するのは、地場食品スーパー(SM)企業のとよはた。現在、小俣店のほか、みその店、藤里店の合計3店を営業している。
地域密着型の店づくりを行う方針で、総菜の生鮮食品を強化する品揃えによって消費者の強い支持を獲得している。なかでも鮮魚、精肉部門では対面コーナーを導入、インストア加工により、鮮度の高い商品を提供。総菜も同様で、独自の味付けが特徴の手づくりメニューは幅広い層のファンがいる。
ただ近年は、競争が激化しているのが現状だ。同業態のSMのほか、生鮮食品にも力を入れるドラッグストア、さらにディスカウントストアといった異業態も台頭している。
これに対し、同社では生鮮食品の味、品質を追求するだけでなく、楽しさを感じられるイベントや店づくりによって競合店との差別化を図っている。社内では毎月、全部門が参加、売場や品揃えを競い合う「活性化コンクール」を開催。成功例を共有することで全店のレベルアップをめざしている。
厳しい環境のなか、大陳コンテストに取り組む理由について、小俣店の矢野正康店長は次のように説明する。「活性化コンクールもそうだが、低価格以外の価値を伝えられるメリットがある。さらに従業員のモチベーションアップにもつながることも大きい」
小俣店では今後も、コンテストに参加する意向だ。従業員、一人ひとりの創意工夫により、さらに独創的な売場が来店客を魅了しそうだ。