コロナ禍で試食販売ができなくても訴求力のある売場で売上アップを実感
大胆に挑戦的な売場づくり
昨年の秋に実施された伊藤ハム「朝のフレッシュシリーズ ディスプレイコンテスト」において、グランプリを受賞したのは、北雄ラッキー㈱(北海道札幌市、桐生宇優代表取締役社長)の発寒店である。精肉売場チーフの小幡朋氏は「伊藤ハムの担当者さんの協力があってのグランプリ受賞だと感謝しています。また今回は、『売場をつくる』ことの大切さを再認識するよい機会になりました」と語ってくれた。
売場は、他店でも真似できないほどのスペースを確保して展開した。目立つというだけではなく、商品を認知できることを意識したスペースである。小幡氏は「弊社バイヤーからの情報で『成人の歩幅は平均70cmといわれているので、最低5歩分ぐらいないと認知してもらえない』ということで、12尺で売場づくりを行った。
また、「朝食=ハム」という経験則に頼らず、ハムに加え、ウインナーや生ハムも陳列して、販促物でのアピールを行うなど、販売に注力したことが、今回の取り組みでの新しい挑戦となっている。
さらに、「朝のフレッシュウインナー」は、袋のまま、レンジで簡単対応ができることを訴求したことで、来店客の購買意欲を高められたこともポイントとなっている。
コロナ禍で、試食販売ができなくても、売場づくりの工夫によって、売上アップを実現できることを実感することになった。
重視する6つのコンセプト
北雄ラッキー㈱は、札幌市を中心に「ラッキー」と「シティ」の2タイプのスーパーマーケットを北海道全域に35店舗を展開している。
発寒店は、同社の中でも大型店のひとつである。商圏内には、集合住宅が多く、比較的若い客層や勤め帰りの午後7時以降に来店する顧客も多いことが特徴である。 同社では、商品を「安心」「おいしさ」「適量」「価格」「簡便」「地元商品」の6つのコンセプトに分け、多様化するニーズに対応している。さらに、店舗ごとの商圏特性を加味している。店長の内ヶ島幹人氏は「核家族が多いこともあり、鮮度を重視したり、品質など高級志向のお客さまが多い店舗だと思います」と話す。
コロナ禍で、販促企画が思うようにできない状況にある中で、商品をアピールして、売上が見込める定番商品にどのように育てていくか。その答えが、「今回のディスプレイコンテストの参加で見えたと思います」(小幡氏)。陳列方法や演出方法など、売れる「売場をつくる」ことの重要性と、その訴求方法を体現化する機会となった。
「今後も、注目され、楽しく買物ができる売場をつくり続けていくという思いが、強くなった」という小幡氏。
伊藤ハム商品は、今回のコンテストで、多くの顧客を獲得したこともあり、「次回のコンテストにも挑戦して、グランプリ受賞をめざしたい」と小幡氏は抱負を語ってくれた。