若年層を取り込む商品提案とハロウィン演出で顧客を拡大
商品から発想した売場
昨年の9〜10月に実施された白鶴酒造の「2024秋 ディスプレイコンテスト」において、Aコースのグランプリを受賞したのは、㈱バッカス(岡山県津山市、三村弘光代表)の勝央店である。売場づくりを担当した金谷氏は「お店に入って、まだ1 年ちょっとですので、店長に教えてもらいながら取り組みました。まさかグランプリを受賞できると思っていなかったので、本当に驚きです」と語ってくれた。
今回は、推奨商品になっていた「Hakutsuru Blanc」を打ち出す展開を考えた。「人気の『サケパック まる』を中心に売場づくりをして、秋祭りや鍋の演出をした売場を考えたのですが、金谷は日本酒離れが進んでいる若者をターゲットにした売場づくりを提案してきました」と店長の鈴木貴雄氏。
白ワインのような軽やかな飲み心地の純米酒である「Hakutsuru Blanc」なら、若者にアピールできる。それを盛り上げるのがハロウィンということで、こだわりの演出を展開した。
「Hakutsuru Blanc」を中心に陳列し、黒いパッケージの「サケパック まる辛口」で、ハロウィンらしさをより強調している。
「経験が少ないからこその固定観念に縛られない大胆な発想を、店長がバックアップしてくれたおかげです。それがグランプリという最高の結果に結びついたと思います」と金谷氏は話してくれた。
酒専門店の接客と提案力
岡山県と鳥取県に、8店舗の酒専門店を展開している㈱バッカス。専門店としての豊富な品揃えと顧客の好みに合わせた商品提案力で、それぞれが人気店となっている。勝央店は、周辺の住宅地のシニア層の顧客と工場団地に勤める若年層やファミリー層、そして、週末に自動車で来店し、まとめ買いをする顧客と幅広い層に支持されている。
午前中は高齢者が多いので、コミュニケーションを重視しているという。「実はちょっと話をしたいために来店される年配の方が多いです」と鈴木店長。元気がなさそうに見えて「どうしたの?」と声がけをすると「お父さんが風邪気味なの」と話が始まる。このように、顧客に寄り添った接客が同店の特長の1つである。
夕方には、仕事終わりに立ち寄る若年層の来店が増えるため、そこをターゲットにした提案も必須である。
鈴木店長は「売場や提案は、メーカー任せではなく、お客さまと接している私たちが間に入り、どのように伝えるのが効果的かを考えることが重要」と話し、次回もそのスタンスで参加したいと語ってくれた。