各店のノウハウと陳列技術にオリジナリティーを加味して挑戦
POPの役割をポイントに!
昨年の秋冬に実施された「Dole 機能性表示食品バナナ大陳コンテスト」において、企業コースの企業賞を受賞したのは、㈱フジ(山口普代表取締役社長兼 COO)である。生鮮食品事業部第二商品部バイヤーの竹内周平氏は「青果を対象としたコンテストは機会が少ないこともあり、企業賞を受賞できたことはうれしいです。各店ががんばってくれたおかげです」と語ってくれた。
同社では、果物の大陳を実施する場合は試食と組み合わせて、来店客に味を確認のうえで購入してもらうケースが多い。しかし、今回はコロナ禍でのコンテストのため、試食販売ができなかった。さらに、機能性表示食品バナナという付加価値のある商品を訴求するという難しさがあった。
その解決策として、POPに重点をおいた売場づくりが実施された。「とくに本部から指示したわけではないのですが、各店がメーカー提供POPとオリジナルPOPを組み合わせて、訴求力のある売場を展開してくれました」と竹内バイヤーは話す。
各店の担当者が、ドールのサイトを参照したり、商品を試食し、その味わいや実感をコトPOPなどのオリジナルPOPにしてアピールしている。加えて、視認性アップや演出効果を考えたPOPも作成された。各店のノウハウと陳列技術、オリジナリティーが詰め込まれた大陳売場である。
バナナの販売ピークは5月であり、8割に落ち込む11月実施にもかかわらず、予想以上の売上を記録する結果となった。
レベルアップに効果的
同社は中四国エリアにおいて、GMSの「フジグラン」やSMの「フジ」をはじめ、衣料品や日用雑貨の販売を含め、98店舗(2021年2月現在)を展開。創業から54年にわたり、地域の人々の暮らしに貢献する企業として親しまれている。
高齢化が進む地域を商圏としていることから、移動スーパーやネットスーパーへの取り組みも行っている。一方で、ファミリー世代などへのアプローチも怠っていない。竹内バイヤーは「地域性や世代間の嗜好の違い、多様化する嗜好に応えるために、できるだけ取り扱い品種やアイテムを増やすことを実施しています」と話す。
ふだんは「エクアドル産バナナ」が売れ筋となっているが、今回のコンテストで「スウィーティオバナナ」「極撰バナナ」を大量に陳列したことで、注目を集め、売上を伸ばすことができたという。
「機能性表示という付加価値が購入動機になった」と考えている竹内バイヤー。人気のドールブランドというバックボーンがあることも、売上アップに大きく貢献しているとみている。
コンテストに参加するメリットは、「店舗スタッフの視野が広がる点にある」(竹内バイヤー)と考えている。スタッフは、自分の店はよく見ているが、他店を見る機会が少ない。コンテストに参加し、各店舗の売場投稿を見ることで、今まで感じられなかったことや見えていなかった部分が確認できることがある。結果を見ることで、レベルアップにつながっていくとのことだ。
オフシーズンの底上げ企画にもなり、売場づくりのレベルアップにも役立つコンテストは、今後も挑戦していく予定だ。