ただ積むだけではなく、「売れる陳列」を目指しましょう
売場での“立ち位置”
お客様が売場にて商品を選ぶ際の“立ち位置”を考えてみましょう。 普段自分が買い物をする際の行動を思い返してみると、陳列された商品が一望できる棚の中央部分で立ち止まることが多いと思います。お客様の購買行動は、まず「目当ての商品を探す」ことから入ることが多いため、中央部分が最もストレスなく購買できる立ち位置なんですね。
視線の動きは“Zの法則”
中央の立ち位置から売場全体を検索するとき、人の視線は左→右、上→下、に流れる傾向があります。(日本人は横書きの文章に慣れているから、とも。) 視線は“左上から右側へ移動し、斜めに下段左側へ移って右側に流れる”わけです。アルファベットのZを描くような動き方であるため、「Zの法則」と呼ばれています。
視線の動き=商品を目にする順番 になりますので、これを意識した商品配置を心がけることでお客様に『売場のストーリー』を演出し、与える印象をコントロールすることが可能になります。 また、視線が流れてしまいがちな中央部分より、流れが変わる両端の位置にてどう印象付けるか、も重要なポイントです。
Zの法則の活用例
スタート地点である「左上」に必要なのは、売場全体の印象を底上げするインパクト。売れ筋ブランドの新商品や特売品など、目玉商品を陳列することによってお客様の購買意欲を高めます。 次に視線が移る「右上」には、定番商品の陳列がオススメ。“同じ商品が陳列されている場合は右端の商品から売れる”という法則(右利きの人が手に取りやすい)もあり、気軽に手を伸ばしやすいエリアになります。 続く「左下」には、お店が売りたい商品を置くと良いでしょう。「右上から左下」は、視線が最も大きく動くポイント。ここに各種販促物などとともに売りたい商品を陳列することで、視線の動きにメリハリをつけることができ、売場全体の盛り上げにも繋がります。 最後に「右下」に陳列すべき商品は、付加価値の高い比較商品です。商品を検索する際、お客様には無意識に「さらに良いものを探したい」という心理が働いています。このタイミングで“(高価格帯だが)より良い商品”を提示し、それを選んでいただくことで、客単価の向上を狙うわけです。
POPとセットで、効果倍増
Zの法則を意識した陳列を行う上で、あわせて考えたいのが「POPの活用」です。 通常、POPは商品ごとにそれぞれ設置されることが多いのですが、売場には一連の視線の流れ(ストーリー)が存在する以上、それに合わせた適切なPOP表現を行う事で、その効果をさらに大きくすることができます。 まず前提として、売場全体の統一性を損なわないように心がけましょう。例えば、プライスカードの大きさや記載内容がバラバラな状態では一貫性が失われ、一連のZの法則が途中で止まってしまう要因となります。各メーカーから支給されたPOPなど統一が難しい状況はあるでしょうが、設置位置や自作のPOPで補完するなど、なるべく統一感を意識しましょう。
さらに、目玉商品から定番商品/売りたい商品を経由して高付加価値商品を紹介する、というストーリーであることを踏まえ、左上のPOPでは価格を、右下のPOPでは機能比較を意識して訴求する…といった“ストーリーに沿ったメッセージ”を伝える工夫も効果的です。
まとめ
今回は、Zの法則を中心とした陳列の工夫について解説させていただきました。 陳列/POPのテクニックは色々とありますが、“商品紹介をストーリーとして届ける”という行為自体は、売場スタッフの皆さんが日々行っている接客業務と何ら変わりません。お客様の行動/反応を想定した売場づくりが、効果的な売場作成への近道になります。
著者からのメッセージ DRMオンラインをご覧のみなさま、こんにちは。 このたび、売場づくりについてコラムを書かせていただくことになりました、売場スタッフ応援サイト「てんとうむしweb」(http://www.10-10-64.com/)編集部 松江です。 てんとうむしwebでは、ドラッグストアでの売場づくりを中心に、POPの切り口・イラストや文字の書き方・汎用POPの無料ダウンロードなどをコンテンツとして公開しておりますが、今回はその中から 抑えておきたい陳列の基本法則をご紹介いたします。 「ドラッグストアてんとうむし」では、POPやイラストの書き方などについても発信しておりますので、機会がありましたらご覧ください。
みなさまのお店の売場づくりに、ぜひご活用ください。
文=松江謙公 てんとうむしweb 編集長