「売上の拡大」「新規顧客の獲得」、そして「商品の認知度拡大」など、店頭販促の目的は多岐にわたる。その1つとして活用されているのが、ディスプレイコンテストである。市場規模の縮小などの課題に直面している現状の中、どのような取り組みを行っているのかについて、コンテストで高い評価を受けている担当者に、活用事例を語ってもらった。
陳列技術やモチベーション向上が参加のメリット
――初めに、経歴と過去のディスプレイコンテストの実績を紹介してください。
佐茂 イオンに入社して、光洋に出向という「イオン生まれの、光洋育ち」です。店長を7年経験し、マーケティング部長を経て現部署でIT・デジタル関連の推進役もさせていただいております。今後小売業がどう販促のあり方を変えられるか、われわれだから保有できるお客さま情報と最新デジタルを融合させることでお客さまに対して新たな広告・宣伝を一緒に実行していけるメーカーさまに出会いたく今回参加致しました。
泉 ホクノーに入社したのは、2000年です。それから3店舗ほど経由しまして、現在の「ちびホク厚別5条店」の店長になって、11年目です。
「ちびホク厚別5条店」は、80坪の店なので、スペースに制限があります。まず、ディスプレイコンテストは、エンド1本から始めました。そして、エンド2本、3本と広げていきました。また、競合店が次々と出店してきたこともあり、その打開策として挑戦を始めました。
――それぞれの役割の中で、売場づくりについてどのように関わりを持っていますか。
佐茂 定番売場は写真が中心となる 「部門毎の出来栄え基準マニュアル」を推進しております。重点販売の売場は映像共有アプリを利用し、全店の陳列状況を可視化して、ある一定レベルまで高める取り組みを進めています。商品部長が担当者に遠隔で売場づくりのアドバイスを行うことで徐々に成果が出てきています。
泉 大陳をするにあたり、まずチーム編成を行いました。私が着任した時に、仕事の関わり方がスタッフによって違うということが気になっていたからです。適性を見て役割分担をし、それぞれに必要な技術を教え込みチームづくりをしました。コンテストの挑戦も、いきなり全国規模ではなく、道内限定のコンテストから参加しました。その中で、受賞できるようになると、スタッフに自信がつき、モチベーションもアップし、「いい売場をつくるためには、どうしたらいいか」ということをスタッフ全員が考え、取り組むようになりました。
――ディスプレイコンテストに参加するメリットはなんでしょうか。
佐茂 お客さまに、その商品のブランド価値を伝えるために、まず自分たちが商品について調べることで、商品理解が深まることと、陳列技術の向上がメリットです。
泉 同社では、獲得した賞金は店舗に入りますので、収益の改善を図ることができます。また、受賞することで、スタッフのモチベーションが上がることなどがメリットです。
伸びが期待できるチルドや冷凍商品に挑戦!
――得意なカテゴリー、不得意なカテゴリーや参加しやすいカテゴリーについてはいかがですか。
泉 苦手なカテゴリーは、賞味期限が短い商品です。苦手な展開というのもありまして、それは毎年同じテーマで実施されているコンテストです。参加したいと思っても、同じテーマでは、前年以上のものがつくれないという気持ちになります。参加しやすいのは、賞味期限が長い商品です。また、当店のような小さい店では、10ケース、20ケースから参加できるような賞を設定していただけるとありがたいです。最近は、そのような賞設定をしているコンテストが増えているので、参加しやすくなっています。
佐茂 一番得意な陳列は、ブリック飲料の陳列ですね。クリスマスツリーをつくったり、ピラミッドをつくったりなど、いろいろなものをブリック飲料で再現しており、長く続けているので、いろいろなバリエーションを持っています。
――コンテスト参加時は、かなりの商品数を積んでいますが、売り切ることは可能ですか。
佐茂 大陳場所だけでは売り切れない場合もあり、最高は10カ所ほどでの多箇所で販売を継続したこともあります。1カ所だけではなく、店全体で売り切る努力をします。
泉 初めて参加するメーカーさまのコンテストは、失敗することが多いです。どのぐらい売れるのかという予想が外れてしまうことが多いからです。2回目以降は、失敗しないような数量を考えて、適正数量をはじき出して発注します。
――チルド商品や冷凍商品のコンテストが増えていますが、これらのカテゴリーはいかがですか。
佐茂 ここ数年は、チルド商品にも挑戦する店舗が増えており、受賞店舗も出るようになってきました。冷凍食品は、催事スペースが限られるため、店舗の担当者個人の判断ではなく本部の計画から決めないと取り組みにくい領域だと考えています。
泉 チルドや冷凍商品は、間違いなく伸びるカテゴリーだと思います。平台冷蔵ケースですと、使い勝手の面で制約が多くなると思います。リーチインのほうが、陳列の可能性が広がります。ガラス面や上部の面などを活用することで、今までと違った角度での演出が可能になります。
――この商品なら、大陳にぜひ挑戦してみたいと注目しているものはありますか?
佐茂 冷凍はやってみたいと思っています。ある展示会で見たのですが、リーチインケースのガラス面にデジタルサイネージを映し出すというものがありました。動画が流れて、そこに商品を陳列しているという最新の技術は、興味があります。リーチインで催事スペースを設け、協力いただけるメーカーさまがあれば是非チャレンジしたいです。
あと、生鮮を売るためのグロサリーやチルドの展開というところをさらに強化していきたいと考えています。当社では、そのようなメーカーさまからの提案をお待ちしています。
泉 これをやってみたいというものは、現在はとくにありません。コンテストで、毎回出されるテーマに応えていくためには、「どうするか・何が考えられるのか」と取り組んでいます。メーカーさまからのその都度のお題に真剣に向き合って挑戦していきたいと考えています。そのほうが、私自身は売場づくりのスキルなどが伸びるのではないかと感じています。
消費者が参加できるようなディスプレイコンテストを!
――今後、「こんな販促をやってみたい」という企画などはありますか。
佐茂 過去に実施した企画ですが、顔部分をくり抜いた「顔出し看板」は、来店客の人気が高いです。今は、売場写真を撮ってはいけないという時代でなないので、どんどん「顔出し看板」写真を撮って、SNSで発信してもらいたいと考えています。お子さまには人気が高く、お母さまも喜んで写真を撮っていますから。ディスプレイコンテスト時に「顔出し看板」POPを支給していただき、売場に置けば、写真を撮ってもらえる確率はかなり高くなり、おおいに販促につながると思います。また、はじめに話したデジタルへの取り組みで、パーソナルに販促を行っていければと考えています。大陳売場に長く滞在してくれたお客さまだけに、特別な販促を送付する等。メーカーさまと協力して新たな販促にチャレンジできればと思います。
泉 キャラクターを持っているメーカーさまへのお願いなのですが、そのキャラクターを大陳時に貸していただけたらと思います。お子さまが売場に寄ってきたり、写真を撮ってもらえる機会が増えると思います。消費者の誰もが知っているようなキャラクターについては、ぜひ貸し出しをご検討いただければと思います。
――最後になりますが、メーカーさんへの要望などがあればお聞かせください。
佐茂 什器メーカーさまと共同開発などをしていただき、販売効果のある什器を提供していただければと思います。ディスプレイコンテストに参加しない店は、陳列技術やノウハウがないために売り切ることができないと考えて、参加を見送るケースがあります。効果のある什器を採用することで、ボリューム感や演出効果をアップできるのなら、参加の壁が低くなります。そのような什器提供が可能であれば、ぜひお願いしたいと思います。
泉 当店では、森永乳業さんの協力を得て、独自の販促企画を実施しました。お客さま、メーカーさまを巻き込んで、3月の準決勝、8月の決勝、11月の結果発表と続きます。順位予想の「3連単クイズ」も実施することで、盛り上がりも見せました。このように、「メーカー・店舗・お客さま」と企画に携わる全員が楽しめるような販売企画を希望します。このような企画に賛同しご協力をいただけるメーカーさまがありましたら、ぜひお声をかけてください。
――本日は、ありがとうございました。
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